目次
1. 特発性間質性肺炎とは?

特発性間質性肺炎(Idiopathic Interstitial Pneumonia, IIP)は、肺の間質(肺胞の壁や血管の周囲など)に炎症や線維化(硬くなること)が生じ、徐々に肺の機能が低下していく病気です。
「特発性」 とは「原因不明」という意味で、明確な原因が特定できない間質性肺炎を指します。
2. 原因と発症のメカニズム
特発性間質性肺炎は、ウイルス感染、喫煙、遺伝的要因、環境要因などが関係している可能性がありますが、明確な発症原因は特定されていません。
✔ 可能性のある要因
- 喫煙(特に肺線維症を引き起こすリスクが高い)
- 大気汚染や粉塵の吸入(職業性要因)
- 遺伝的要因(家族に同じ病気を持つ人がいるケースも報告されている)
- ウイルス感染(COVID-19などが病状を悪化させる可能性)
3. 症状
特発性間質性肺炎は進行性の病気であり、次第に呼吸機能が低下します。
✔ 主な症状
- 息切れ(呼吸困難):階段を上るときや運動時に感じやすい
- 慢性的な乾いた咳(痰を伴わない咳)
- 倦怠感・疲れやすさ
- ばち指(指の先が膨らむ):進行すると指の形が変化することもある
- 低酸素症(進行すると酸素が不足し、チアノーゼになることも)
症状は徐々に進行し、日常生活に支障をきたすようになります。
4. 診断方法
特発性間質性肺炎は、以下のような検査で診断されます。
✔ 主な検査
- 胸部CT(高分解能CT, HRCT):肺の線維化の程度を確認する
- 肺機能検査:肺活量や酸素の取り込み能力を測る
- 血液検査:炎症や自己免疫異常の有無を確認
- 気管支鏡検査・肺生検:肺の組織を採取し、詳細に分析
5. 治療法
特発性間質性肺炎は完治が難しい病気ですが、進行を遅らせる治療法があります。
✔ 薬物療法
- 抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテダニブ):肺の線維化を遅らせる
- ステロイド・免疫抑制剤:炎症を抑える(ただし特発性肺線維症には推奨されないことも)
- 酸素療法:進行した場合、酸素吸入が必要になる
✔ その他の治療
- 肺移植(適応がある場合)
- リハビリテーション(呼吸リハビリを行い、生活の質を向上させる)
6. 予後と生活の注意点
特発性間質性肺炎は進行性の疾患で、特に 「特発性肺線維症(IPF)」 は予後が悪く、診断後の平均生存期間が 3〜5年 とされています(個人差あり)。
✔ 生活の注意点
- 禁煙(喫煙は病気を悪化させる大きな要因)
- 感染予防(インフルエンザやCOVID-19に注意)
- 過度な運動を避け、適度なリハビリを行う
- 定期的に病院で診察を受ける
まとめ
特発性間質性肺炎は原因がはっきりせず、進行性の肺の病気ですが、早期発見・早期治療 で症状の進行を抑えることができます。
特に、喫煙や感染症のリスクを減らし、医師の指導のもと適切な治療を受けることが大切です。
📌 「息切れが気になる」「乾いた咳が続く」 などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう!